水産増殖
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養殖サケ科魚類の人工採卵における等調液洗卵法の除菌効果
小原 昌和小川 滋笠井 久会吉水 守
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2010 年 58 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

冷水病菌,せっそう病菌,IHNV および OMV で汚染したニジマス卵を供試して,等調液洗卵の除菌効果を定量的に明らかにするとともに,ニジマス卵を使用した感染試験を行い,卵内感染の防止効果について検証した。その結果,冷水病菌,せっそう病菌ではそれぞれ103CFU/ml,105CFU/ml,IHNV および OMV については104TCID50ml 程度の菌体あるいはウイルスが等調液洗卵により除去されることが明らかとなった。また,シャワー洗卵においては,等調液量を増加させることにより,冷水病菌およびせっそう病菌の除菌量が増加した。さらに,冷水病菌で高度に汚染した卵を濯ぎ洗卵した場合には,卵内感染の割合が低くなり,シャワー洗卵をした卵では卵内感染卵は検出されなかった。これらの結果から,等調液洗卵法は卵表面に存在する細菌,ウイルスの除菌あるいは除去効果があり,卵内感染のリスクを小さくするために有効な方法であることが示された。

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© 2010 日本水産増殖学会
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