水産増殖
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原著論文
ニジマスの産卵期および卵サイズ形質における雌性発生近交系の作出
小林 徹伏木 省三
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2011 年 59 巻 2 号 p. 191-198

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抄録
醒井養鱒場ニジマス血統集団から選抜された個体を用いた雌性発生継代によって,早期産卵形質および大型卵産出形質に関する遺伝的固定をおこなった。夜間照明による成熟調節操作を受けた1986年夏季産卵群(P)の再生産形質のうち排卵時期と産出卵のサイズの分布を調べ,産卵期間のうちで早期,中期,晩期に排卵した個体の中から大型卵を産出した個体をそれぞれ選抜し,それらの卵を用いて雌性発生で継代した。雌性発生1代目(1G)は1988年の秋に成熟し,それぞれの次世代集団は各選抜親魚の産卵期および大型卵産出に関する形質をよく受け継いでいた。そのうち特に早期に大型卵を産出したC系統の個体を用いて雌性発生継代した2代目(2G)は醒井通常系統よりも6週間も早い9月20日から排卵を開始した。1Gの卵サイズは系統ごとに広くばらついた。雌性発生C系統の1代目の平均卵径は4.90 mmとP群の1.06倍であり,その実現遺伝率は0.164であった。
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© 2011 日本水産増殖学会
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