海水(20°C)に懸濁するスメクタイト(0, 4.5, 10, 18, 56 g/
l)にヒラメを24時間曝露し,その血液性状の変化を調べ,スメクタイトがヒラメに及ぼす生理的障害を推定した。24時間の曝露でも,スメクタイト濃度 4.5および10 g/
lでは,全ての魚が生残した。一方,スメクタイト濃度56 g/
lでは全ての魚が曝露4.5時間以内に死亡し,18 g/
lでは,15尾中14尾が24時間以内に死亡,残り1尾は26時間曝露後に死亡した。ヘモグロビン濃度と血漿タンパク質濃度はコントロール,生残魚,死亡魚の間で有意な相異は認められなかった。死亡魚はコントロールおよび生残魚に比較して,血漿中乳酸量,血中全アンモニア濃度および血漿中の無機イオン(Na
+, Cl
-, K
+, Ca
2+, Mg
2+)濃度が著しく有意に増加し,血漿中グルコース濃度は有意に減少した。血液性状の変化から,スメクタイトがヒラメに及ぼす致死的生理障害は,高濃度のスメクタイトによる窒息に起因するものと推定された。
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