水産増殖
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希少種マツカワおよびその他カレイ目魚類の常磐海域における過去(1986~1999年)の漁獲状況
和田 敏裕神山 享一萱場 隆昭佐々木 正義
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2011 年 59 巻 3 号 p. 489-497

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抄録

福島県の南東部に位置する小名浜漁業協同組合(以下,小名浜)および小名浜機船底曳網漁業協同組合(以下,小名底)の水揚年報(小名浜1989~1999年,小名底1986~1999年)を整理し,希少種マツカワの漁獲状況を明らかにした。なお,本種の資源量は,近年の北海道を中心とした大規模な種苗放流事業により回復しつつある。マツカワは両漁協において最も漁獲量の少ない異体類であったが(年平均漁獲量:小名浜44 kg,小名底26 kg),ほぼ毎年漁獲され,ホシガレイに次いで平均単価の高い高級魚であった(小名浜3,097円/kg,小名底2,729円/kg)。1986~1991年の標本船操業日誌分析により,マツカワは,常磐海域においてアカガレイとサメガレイを除く異体類9種に比べ深い水深(平均272.5 m)で漁獲されていたことが示された。本研究は,大規模種苗放流の波及効果が予想される東北海域におけるマツカワのさらなる生態解明や,本種のより広域的な栽培漁業を推進する上での基礎情報を示した。

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© 2011 日本水産増殖学会
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