2014 年 62 巻 4 号 p. 425-432
一般に広く用いられている3種の魚類用全身麻酔薬,2-フェノキシエタノール(2-PE),MS-222,オイゲノールのキンギョに対する効果を比較した。麻酔導入の進行状態はあらかじめ定めた6つの行動指標を示すまでの時間を測定することで判断した。2-PE と MS-222 は,浅い麻酔段階ではどちらもほぼ同様の用量依存性を示したが,高濃度で使用した場合 MS-222 では呼吸喪失を引き起こす傾向がみられた。オイゲノール麻酔では,手術麻酔段階まで達するのに比較的長時間要したが,その後速やかに呼吸が喪失した。またオイゲノールで麻酔した場合,他の麻酔薬よりも回復に時間がかかった。キンギョにおいて,オイゲノールは短時間のハンドリングストレス軽減を目的とした低濃度での使用が適切であり,2-PE と MS-222 は外科的操作を伴う状況での使用に適していることが示唆された。