水産増殖
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東部瀬戸内海に生息するカタクチイワシ Engraulis japonicus における炭素・窒素安定同位体比の空間的変化
濵岡 秀樹曽我部 篤大森 浩二
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2016 年 64 巻 3 号 p. 333-338

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抄録

瀬戸内海東部の3つの海域で採集されたカタクチイワシ Engraulis japonicus 個体群の炭素・窒素安定同位体比を調査した。その結果, カタクチイワシの炭素・窒素安定同位体比は海域間で異なっていた。大阪湾に比べ播磨灘と紀伊水道の個体群内で大きなばらつきが見られた。また, クラスタリング解析によってこれらの安定同位体比の分布は2つのサブグループに分けられることが明らかとなった。この結果は播磨灘および紀伊水道のカタクチイワシ個体群の中に異なる摂餌履歴をもつ2つの集団が存在することを示している。本研究で見られた東部瀬戸内海におけるカタクチイワシの安定同位体比の空間的な変化は将来的にカタクチイワシの回遊を理解するうえで役に立つだろう。

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© 2016 日本水産増殖学会
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