水産増殖
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2015年の琵琶湖流入河川におけるビワマス産卵床の流程分布
尾田 昌紀淀 太我
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2016 年 64 巻 3 号 p. 339-345

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抄録

2015年10月下旬から12月上旬にかけて琵琶湖北湖に流入する11河川でビワマス産卵床の流程分布調査を行い,高島鴨川を除く10河川で産卵床を確認し,その流程分布図を作成した。産卵床は,河川内の同じ場所に毎年形成される傾向があり,特に河川横断工作物や瀬切れなどの遡上阻害の下流部に産卵床が集中する傾向が見られた。一方,河川の流況の安定や堰堤のゲート開放などによって遡上阻害が解消されると,ビワマス親魚はより上流部に遡上して産卵することが示された。ビワマスの卵および仔魚は,産卵(10~12月)から浮上(1~5月)までの数ヶ月間を産卵床内部で過ごすため,この期間(10~5月)に河川工事を行う際は,産卵床保全のための配慮が河川管理者に求められる。今回の調査に加えて地元有識者からの情報を踏まえると,小規模河川が潜在的なビワマス産卵河川として機能している可能性が示唆された。

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© 2016 日本水産増殖学会
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