水産増殖
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原著論文
無魚粉飼料への段階的なタウリン添加がブリ幼魚の成長と生理に及ぼす影響
松本 泰明La Xuan Thao森岡 克司深田 陽久益本 俊郎
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2017 年 65 巻 3 号 p. 239-246

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抄録

ブリ幼魚におけるタウリンの添加効果を調べるため,濃縮大豆タンパク質主体の無魚粉飼料にタウリンを段階的に添加した飼料(0, 1, 2, 3, 4および 5%)および魚粉対照飼料を10週間与えた。最終魚体重では,0%添加飼料区が試験区間で最も低かったが,1%添加飼料区で有意に改善した。肝臓と赤筋のタウリン濃度も 0%添加飼料区が他区に比べて有意に低かったが,1%以上の添加区で有意に高くなった。また 1%以上の添加区間に有意差は無かった。白筋のセリン含量は 0%添加飼料区が最も高く,1%以上区で有意に低くなり,タウリン添加区間に差はなかった。一方,緑肝症の完全な抑制や血漿浸透圧の正常化にはタウリン添加濃度 3%以上の添加が必要であった。以上の結果から,1%の添加(飼料含量0.8%)で組織タウリン含量は飽和に達するが,正常な生理状態の維持には少なくとも 3%(飼料含量2.4%)の添加が必要と考えられた。

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© 2017 日本水産増殖学会
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