2022 年 70 巻 3 号 p. 297-303
本研究では新規ろ材の硝化作用の獲得に及ぼす添加するアンモニアの濃度と回数の影響を調べた。実験は25℃の人工海水中でセラミックスろ材1,000 g を用いて行った。1回目の実験では塩化アンモニウムの添加を全アンモニア態窒素濃度で10,40,70,100,130 mg-N/l となるように1回だけ行った。2回目の実験ではアンモニアの添加を10,20,30,40 mg-N/l となるように1回だけ行う区と全アンモニア態窒素が 0 mg-N/l になったときに添加を繰り返す区とした。添加後,全アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素を7日ごとに測定した。熟成の成功は12週間以内に両者が検出されなくなることで判断した。アンモニアを20 mg-N/l 以下で1回だけ添加した実験は熟成に成功したが,他の条件は失敗することがあった。失敗実験の亜硝酸態窒素濃度は成功実験よりも高い傾向があった。よって,ろ材の熟成にはアンモニアを10 mg-N/l で1回だけ添加することを提案する。