水産増殖
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人工採苗バフンウニの成長と摂餌について
角田 信孝寺尾 百合正中村 達夫井上 泰
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1970 年 17 巻 3 号 p. 155-165

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抄録

1. 1968年4月19日人工受精によるバフンウニ約1,000個体を満1年間飼育して, 成長, 食性等について実験を行なった。
2. 殻径の成長は, 0.5年で平均9.80mm, 1.0年で21.47mmとなり, 天然産よりもかなり良い成長を示した。
3. 殻径18.4-26.5mmの飼育バフンウニでは, 天然産 (殻径17.9-37.8mm) とくらべて生殖巣の質, 量ともに良い傾向がみられた。
4. 各種餌料海藻による飼育実験では, ウミトラノオ, 混合 (ウミトラノオとアナアオサ), フシスジモクが多く摂取され, アナアオサの摂餌量は少なかっだ。しかし, 殻径, および重量の成長は, アナアオサ, 混合 (ウミトラノオとアナアオサ) が良好であり, 餌料効率はアナアオサとアラメが高かつた。
5. 各種餌料海藻と生殖巣の色彩の関係は, アナアオサで飼育したものが他の褐藻類での飼育とくらべ黄味がかったものが多く品質的に多少劣る傾向がみられ, ワカメで飼育したものが良い色彩を示した。また, 生殖巣の歩留りは, アラメをのぞき天然産と比較して高い値を示した。

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© 日本水産増殖学会
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