水産増殖
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エゾアワビの成熟促進に関する実験的研究
広瀬 敏夫千代川 泰三坂下 利光
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1973 年 21 巻 2 号 p. 58-61

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抄録

エゾアワビの早期採苗について, 3ケ年にわたり水温と日長などの処理実験を追試し, 次の結果を得た。
1.20℃前後の適水温のもとでは, 成長に対する長日と短日の日長効果に明瞭な差は見出せなかった。
2.単なる適水温飼育よりも, 短日などの日長処理の組み合わせ飼育が, 明らかに成長・成熟・放精卵に対する著しい促進効果を示した。
3.その効果は, 飼育期間と給水量の増加によって一層高められる。
4.特に最終年には, 天然産卵期に対し短日加温飼育で5旬, 加温飼育で1旬の産卵促進が実証され, かつその受精卵から得た種苗は成長, 生残に好結果をもたらした。
5.常温下では適量の給水飼育でも, 短日加温飼育や加温飼育に比べ, 前記一連の効果は著しく劣る。
6.成長に対する飼育密度は, ある範囲で密度効果のあることがわかった。
7.本実験によって, エゾアワビの種苗生産がより計画的に遂行できることが示唆された。

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