1975 年 22 巻 3-4 号 p. 140-143
1.ウナギを海水から淡水へ, また淡水から海水ヘー度に移行させた場合, 環境に適応するまでに, 水分の吸収や脱水現象がおこり一時的に体重変化がおこる。この時間的変化について実験した。
2.海水飼育材料は3カ月以上地下海水で飼育していたもので稚魚は平均体重0.43g, 養中は15.3g, 養太は195gのものである。淡水飼育材料は地下海水飼育後15日間淡水飼育を行なっていたもので, 稚魚は平均体重0.44g, 養中は13.5g, 養太は187.4gのものである。
3.海水から淡水へ移した場合, 養太は2時間後に1%, 養中は3時間後に2%, 6時間後に5%増重する。このように魚体が大きいほど増重率が小さい。一方稚魚のみは淡水へ移すと同時に減重を始め時間の経過とともにさらに減重した。多分減重のまま斃死するものと推察される。
4.淡水から海水へ移した場合, 稚魚は2~3日目に84%に減重し養中は2日目に93%に減重し, その後両者とも次第に回復している。養太はややおくれて3~4日目に96%に減重している。このように魚体が大きいほど減重し始めるのがおそく減重率も小さい。これは魚体重の増加につれて浸透圧調節機能が大きくなるものと思われ, 生残率が高くなる傾向に符号している。