水産増殖
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ヒジキの移植効果について
西川 博小川 英雄
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1977 年 24 巻 4 号 p. 123-127

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抄録

1973年5月にヒジキが全く枯渇した壱岐郡芦辺町カモメ瀬においてヒジキの種草を移植し, 1976年4月まで卵から発生したヒジキの単位当たり現存量・個体密度・体長 (茎の長さ) などの生育状況の経年変化を調べて次のことがわかった。
(1) ヒジキの繁茂状況は, 種草の設置地点を中心に下方へ0.5-1.0m, 上方に2-4mのほぼ円斑状にみられた。
(2) 移植後卵から発生したヒジキの生育状況は, 単位当たり現存量では経年的に指数関数的な増加がみられ, 3年目に約11kg/m2を示した。体長は経年的に一次直線的な生長がみられ, 3年目に50cm前後に生育した。個体密度は経年変化が少なく2500本/m2前後を示した。
(3) 種草の移植によって, 卵から発生したヒジキが産業的に役立つようになるのは単位当たり現存量・体長などの経年変化からみて3年目以後と考えられる。
(4) 移植後3年目の卵から発生したヒジキの単位当たり現存量・個体密度は, 長崎県下の自然漁場で3月下旬に調べた最大現存量-個体密度に近似した結果がみられ, 種草の移植による増殖効果はあがったと考えられる。

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