水産増殖
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イタヤガイの養殖試験-I
天然採苗について
佐竹 武元
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1978 年 26 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

1977年3月上旬, 前年度実施の予備試験結果をふまえ, 島根県八束郡鹿島町恵曇湾の生洲鼻地先 (水深28m) においてイタヤガタイの採苗試験を行なった。水深3mから海底まで1m毎に波板収容の採苗袋を具える採苗器を2連垂下し, 3か月および4か月後に1連づつ取上げて採苗袋に付着したイタヤガタイ稚貝の数と大きさを層位別に調べた。その結果,
1. 稚貝の層別平均付着数は, 上層から海底に移るにしたがって大となった。また, 稚貝の殻長は層別には差はなかったが, 4か月後の場合では平均20.2mm (最大35mm) に達し, 中間育成に移行可能サイズとなった。このときの付着数は, 底層 (21-25m) では平均187個, 底部 (26-底) で328個であった。採苗適層は中層以深である。
2. 採苗器の取上げ適期は, 稚貝の付着数と生長度の上から, 7月上旬以後下旬までと思われた。
3. 島根県沿岸におけるイタヤガタイの天然採苗は, 今後くわしい調査が必要だが, その可能性のあることが実証された。
4. 幼生の付着に関する研究上の問題点が示唆された。

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