水産増殖
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亜熱帯地域におけるスッポンの養殖技術の研究-II
稚鼈の加温越冬試験について
金本 自由生照屋 忠敬
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1978 年 26 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

亜熱帯地域におけるスッポン養殖上の問題点となっている稚鼈歩留りの悪さの防止と, 養成期間短縮のため1976年12月6日-1977年5月20日まで加温試験とそれに付随した試験を行った。
1) 加温した場合の平均体重は, 初期体重に対して第1期は約5倍, 第2期で10倍位にもなったのに対し, 加温しない場合は, それぞれ, 1.6倍, 6倍にすぎなかった。
2) 病気で死んだスッポンが多かったが, 第1期, 第2期試験とも, 歩留は加温区の方が15.17%・95.45%と自然区8.28%・41.67%のを上まわった。
3) 水質は加温によってさほど悪化しなかった。特にNH4-Nは増加が少なく, 水質による影響は無いといえるだろう。
4) 摂餌量は特に水温によって左右されると思われ, 第1期の摂餌量は加温区で1,522.79, 自然区で211.1gと大差があった。歩留りを考えても加温区の方が良い。
5) 加温終了後は, 自然区の方が加温区より, 日間増重率・餌料転換効率M1M2とも良かったが, 成長は加温区には追いつかなかった。
6) 投餌率を上げたにもかかわらず, 第2期の方が餌料転換効率が加温区・自然区ともによく, その他, 日間増重率・歩留り・総増重量ともによくなっている。

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© 日本水産増殖学会
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