水産増殖
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培養餌料の異なるワムシのアユふ化仔魚に対する餌料効果
岡 彬
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1980 年 27 巻 4 号 p. 202-208

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抄録

1) 油脂酵母ワムシと二次培養ワムシのアユふ化仔魚に対する餌料効果をみるため, 酵母ワムシとの比較のもとに飼育試験を行い, 併せて量産飼育池の仔魚との成長を比較した。
2) 生残率は油脂酵母ワムシ給餌区が最も高く, 二次培養ワムシ給餌区と酵母ワムシ給餌区の間ではほぼ同等であった。
3) 成長の順位は油脂酵母ワムシ給餌区>二次培養ワムシ給餌区>酵母ワムシ給餌区であった。
4) 油脂酵母ワムシ給餌区を100とした場合の餌料効果指数は, 二次培養ワムシ給餌区で62, 酵母ワムシ給餌区で52であった。
5) これらのごとから, アユ仔魚にとって最も有効性の高いワムシは油脂酵母ワムシであることがわかった。
6) 油脂酵母ワムシと酵母ワムシの栄養組成の主な相違は脂肪酸組成にみられ, ω3HUFA含有量の差が栄養価を左右したものと考えられた。
7) 二次培養ワムシが酵母ワムシより多少優れた餌料効果を示したのは, セネデスムスに含まれる18: 3ω3の効果によるものと考えられるが, 18: 3ω3とω3HUFAの効果の差等に関しては今後の検討課題と考える。
8) 量産飼育池の仔魚の成長は本試験のいずれの区のものより大幅に劣っており, 両者を一概に比較はできないものの量産における飼育方法の改善が望まれた。

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