1.ウナギクロコの給餌量の多少と減耗率, 増重率, 餌料効率, 摂餌率, 魚体の変異度との関係を調べ適正給餌率の目安をさぐった。
2.クロコは海底地下海水の流水槽中の生簀へ等重量収容し, 1日あたりの給餌量は毎月総重量の20%, 40%, 60% (飽食区とみなす) とし1ヵ年間実験した。
3.減耗を零とした場合の年増重倍率では20%区で3.4, 40%区で15.7, 60%区では10となり40%区が最もすぐれている。これは月増重要素係数と減耗を零とした場合の月増重倍率とが高い相関関係にある事。そして年増重要素係数 (月平均日間摂餌率×年餌料効率) が20%区の61.2, 60%区の105.45に対し40区では129.54と極めて高い値を示していることで理解できる。すなわち60%区のように, 飽食状態に給餌するよりも40%と少なめに給餌する方がかえって消化吸収がよく餌料効率 (年12.7) が極めて高く, その結果年増重要素係数を高め増重効果を向上させている事がわかる。
4.クロコの場合には餌料の経済性 (餌料効率が良好) でも, また早期に生長促進させるためにも飽食より少い40%給餌 (実摂餌率は10.2%) が合理的であり得策であるといえる。
5.日間摂餌率は60%区で月平均11.1% (最高8月の16.28%) , 40%区は10.2% (最高9月の16.43%) , 20%区は7.2% (最高9月の11.51%) であり給餌量が少ないと摂餌率が低下する。
6.60%区の体重の変異係数は始め (80) より終り (64) の方が小さい値となり一方平均生長度はかなりよい。これは大きいウナギのあとで小さいウナギも十分摂餌出来たからだと思われる。20%区は始め (44) より終り (99) がやや大きく, 一方平均生長度は小さい。これは給餌量の絶対量が少ないため中・大ウナギが十分に生長できなかったからだと思われる。40%区は始め (53) から終り (191) にかけて一定率で増大しており, 一方平均生長度は極めてよい。これは中・大のウナギが優先的に摂餌したほか給餌量が適正で餌料効率 (年) が極めて良好であったためだと考えられる。
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