水産増殖
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高松市の地先水域における人工魚礁の効果について
角田 俊平山沢 忠夫米山 昇
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1980 年 28 巻 3 号 p. 151-155

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抄録

高松市の地先水域に沈設された人工魚礁の効果を判定するために, コンクリートブロック魚礁の沈設区と無沈設区について底刺網の比較試験操業を実施し, 次の結果を得た。
1) 試験操業によって漁獲された種類はクロダイ, ウミタナゴ, アイナメ, キュウセン, カレイ・ヒラメ類, ウシノシタ類, メバル・カサゴ類, スズキ, ウマヅラハギ, オニオコゼ, コイチ, キジハタ, ボラ, イカ・タコ類であって, 漁獲物組成において魚礁沈設区と無沈設区との間に顕著な差は認められなかった。
2) 魚礁沈設区と無沈設区との間で操業1回当たりの漁獲物を個体数, 重量, 金額について比較すると, 沈設区の方が何れについてもより多く, 個体数は2.9倍, 重量は2.6倍, 金額は3.5倍であった。
3) 魚礁沈設区と無沈設区との間で操業1回当たりの漁獲個体数を種類別に比較すると, 何れの種類も沈設区がより多いが, 特に多い種類はクロダイ, ウシノシタ類, アイナメ, キュウセンであった。同様にすべての種類において漁獲金額は魚礁沈設区がより多いが, 特にクロダイにおいてその差が顕著であり, アイナメ, メバル・カサゴ類, ウシノシタ類にも大きな差が認められた。
4) 刺網漁業の最重要漁獲物であるクロダイについて, 漁獲個体数を魚礁沈設区と無沈設区との間で比較すると, 沈設区がより多いことが統計的に確認され, コンクリートブロック魚礁はクロダイに対して集魚効果をもつことが認められた。

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