1980 年 28 巻 3 号 p. 165-170
ホッキガイ稚貝の耐高温性に関する実験観察の結果から, 本州中部暖海砂浜域に放流されたホッキガイ稚貝生存の可能性が示唆された。
福島県産母貝から採卵し, 水温20℃下で人工飼育して得た平均殻長1~3mmのホッキガイ稚貝は水温25℃の10l水槽内で正常に生活し, 生長する。生長度は22.5℃において最も大であった。また, 夏季屋外流水タンクに収容された3mmサイズ稚貝の3週後における生残率は88%であった。
一定条件下で得られた材料およびその温度条件の範囲内で, ホッキガイ種苗の現地試験が望まれる。