水産増殖
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人の踏みつけによるヒジキ群落の衰退
新井 章吾新井 朱美片田 実
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1985 年 33 巻 3 号 p. 172-176

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抄録

長期にわたって頻繁に人に踏みつけられることが予期された潮間帯岩礁域において, ヒジキ・ウミトラノオ群落の変化を調査した。
観光客らの踏みつけのほかに, 著者らは3年間に延べ270日調査区を踏みつけた。その結果, ヒジキは被度で70.4%減少し, ウミトラノオは14.4%減少した。削除面に新生したヒジキは3年後に削除前の被度の3.4%に回復し, ウミトラノオは57.1%にまで回復した。これらのことから人の頻繁な踏みつけはヒジキ群落の衰退に結びつくこと, ウミトラノオはヒジキより踏みつけに対して耐性が強いことが認められた。
踏みつけの影響によってヒジキ群落が衰退したとみられる地域でその回復を計るには, 観光客や遊漁者に対する侵入禁止区域の設置や通路の指定などを実施する必要がある。また, 観光地周辺の潮間帯岩礁自然の保護という点からもそれらの対策がが望まれる。

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© 日本水産増殖学会
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