1992 年 40 巻 1 号 p. 87-92
ベラ科魚類のキュウセンを水槽内で飼育し, 産出された卵の卵径や孵化率, 孵化時間などについて検討した。
卵径は0.60~0.72mmの間で変動し, 水温26~29℃の範囲では水温の上昇にともなう卵径の減少が認められた。孵化率は通常50~100%で, 産卵初期に比較的高く, その後低下した。孵化率と有意な相関が認められたのは浮上卵率と水温で, これらは卵質判定の指標になると考えられた。孵化率は水温22~30℃, 塩分34~44‰の範囲で50%以上を示した。また, 塩分30‰以下になると, 孵化率は急激に低下した。水温20~32℃の範囲内では孵化に要する積算温度はほぼ一定で, 水温25℃では約21時間で孵化した。