水産増殖
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キュウセンの水槽内自然産卵
木村 清志桐山 隆哉
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キーワード: キュウセン, 産卵, 産卵行動
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1992 年 40 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

ベラ科魚類のキュウセンを水槽内で飼育し, 水槽内での産卵生態について記載した。
本種は漁獲直後の親魚から自然採卵することが可能であった。水槽内での産卵は6月3日から9月10日までの期間ほぼ連日行われた。産卵は午前中に行われ, 8時から9時30分の間に行われる場合が最も多かった。水槽内で観察された産卵様式はなわばりTP雄によるペア産卵, 雌1個体と非なわばりTP雄2~5個体によるグループ産卵, およびこれらに対するIP雄とTP雄の割り込み産卵であったが, 本種の基本的な産卵様式はペア産卵やこれに対するIP雄の割り込み産卵であると考えられた。雌1個体の産卵回数は0.44回/日であった。1産卵期における産卵回数は約40回であると推定した。1回の産卵行動によって産出された卵数は600~28, 500粒で平均9, 600粒であった。1産卵期中に雌1個体が産出した平均卵数は38万粒と推定された。

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