水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
長良川・揖斐川水系のイワナの形態と生態に関する知見
加藤 文男
著者情報
キーワード: イワナ, 形態, 生態
ジャーナル フリー

1992 年 40 巻 2 号 p. 145-152

詳細
抄録

長良川及び揖斐川水系のイワナの形態と生態について調べ, 以下のような知見を得た。
1.体色は黒褐色味が強く, 体側に濃橙赤色の有色斑点を持つ点で, 九頭竜川及び庄川のイワナと少し異なる。しかし, その他の顕著な形態的差異は見られず, 同一種内の斑紋上の変異と考えられる。
2.アメマスS. leucomaenisとは, 濃橙赤色の有色斑点を持ち, 側線有孔鱗数が少し少ない点で異なるが, それと同一種の一地方型と考えられる。
3.平均体長は1年で7.8cm, 2年で12.5cm, 3年で約15cmに成長し, 体長・体重関係はW=0.01389L3.0181であった。
4.餌料生物は水生昆虫類の他に陸生動物も食うが, それらの選択性はあまり見られない。摂餌率, 肥満度ともに, 0+年魚より1+年魚の方が高かった。
5.雌雄ともほとんど3年で成熟するが, 一部は2年で成熟する個体がある。
6.九頭竜川水系のイワナに比べ, 成熟年齢は1年遅く, 同一年齢でも最小成熟体長がかなり大きい。

著者関連情報
© 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top