水産増殖
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オニテナガエビ, Macrobrachium rosenbergiiの成長に伴う付着細菌相の変動
上田 龍太郎小森谷 雅彦平野 昌伸杉田 治男出口 吉昭
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1993 年 41 巻 2 号 p. 161-167

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抄録

オニテナガエビの幼生を孵化後100日間飼育し, 幼生付着細菌や飼育水中の細菌の動態について調べた。また, 親エビ, 卵および餌料などの各細菌相についても検討した。親エビおよび卵ではFlavobacterium属およびEnterobacteriaceae科の細菌が優占した。幼生付着細菌および飼育水の細菌の総生菌数は, ゾエア期にいったん増加するものの, ポストラーバ期以降減少することが判明した。Vibrio属細菌は, 飼育水として希釈海水を用いるゾエア期からポストラーバ期にかけて優占的に出現した。これは, 餌料として与えたブラインシュリンプに由来することが示唆された。また, pinhole colony形成群も, 孵化直後からゾエアVI期またはポストラーバ期までの間にのみ出現した。これに対し, グラム陽性球菌は淡水で飼育する稚エビ期以降に出現し増加する傾向を示した。また, Aeramonas属, Pseudomonas属, Flavobacterium属, Moraxella属などの細菌は, 全期間を通じてほぼ一定の密度で検出された。
以上の結果から, オニテナガエビの幼生個体および飼育水の細菌相は飼育水の塩分濃度ならびに餌料中の細菌相の影響を受けることが示唆された。

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© 日本水産増殖学会
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