1994 年 42 巻 2 号 p. 371-375
本研究は夏季におけるクルマエビ養殖池海水および植物プランクトンの培養海水を用いて, 珪藻類を優占種とした植物プランクトン濃度の日変化と細菌濃度の日変化との量的相互関係を検討し, 次の知見を得た。
1) いつれの海水ともChl.a濃度は昼間に増加し, 夜間に減少するが, 細菌濃度は昼間に減少し, 夜間に増加するといった顕著な日周変化を示した。
2) Chl.a濃度の日変化率 (α) と細菌濃度の日変化率 (β) との相互関係は, α・β=1と表示される。すなわち, Chl.a濃度の変化率が1のとき, 細菌濃度は変らず。Chl.a濃度が2倍になれば細菌濃度は半減するといった相互関係が認められた。
以上の結果から, 珪藻類の増殖過程における抗菌物質の排出によって細菌の増殖が抑制されていることがクルマエビ養殖池海水の現場ならびにその試水を用いた植物プランクトンの培養海水の両者で示唆された。