水産増殖
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酸素と炭酸ガスの相対収支からみたマダイとアナアオサ変異種の複合養殖効果
平田 八郎山崎 繁久前之園 英輝中薗 貫幸山内 達也松田 宗之
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1994 年 42 巻 2 号 p. 377-381

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抄録

環境保全機能を備えた持続的養魚システムの開発を目的として, 同一生簀内でマダイと不稔性アナアオサ変異種 (以下, アオサと略) の複合養殖を行い, その生簀の酸素と炭酸ガスの相対収支の面から本養魚システムの効果を検討した。供試マダイは当センターで種苗生産した3年魚であり, 実験開始時の平均魚体重は654gであった。アオサは実験区生簀の全表面に「浮き流し網」で栽培し, 遮光用寒冷紗は施さなかった。対照区は, 在来法に準じ, 生簀上部を寒冷紗で覆いを施し, アオサの栽培は行わなかった。実験区のマダイにはその生簀もしくは同海域に自生するアオサを2% (乾燥) の割合でペレットに添加給餌した。また, いずれの区も投薬は行わなかった。飼育実験は1993年8月1日から開始した。ここでは, 同年9, 月27~30日にラジオメータ社ABL330で観測したpO2pCO2の相対収支について検討した。その結果, 対照区の酸素および炭酸ガスをそれぞれ100%として換算すると, 実験区の酸素は109%に増加し, 炭酸ガスは96%に減少していることがわかった。つまり, 実験区は対照区に比べ, 酸素で9%増加, 炭酸ガスで4%減少, という結果が得られた。なお, その時期における2週間ごとのアオサの成長倍率は20~23倍であった。

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