1997 年 45 巻 1 号 p. 75-80
1990年3月に作出した交雑魚マダイ♀×クロダイ♂およびマダイ♀×ヘダイ♂を4年間飼育した後, 2月から6月までの生殖腺成熟の様相を, 同様に4年間飼育した両親魚種 (マダイ, クロダイおよびヘダイ) と比較した。その結果, 両交雑魚から摘出した生殖腺は外観的に同時期の両親魚種のそれらに比較して明らかに未成熟であった。両親魚種の生殖腺指数はいずれも4月に最大値となり, その平均値はいずれも8以上の高い値であったのに対し, 両交雑魚のそれは1以下であった。生殖腺組織像から両交雑魚とも精原細胞, 精母細胞, 精細胞および精子形成は観察できたが卵母細胞は認められなかった。以上より, 両交雑魚は雌雄ともに生殖不能すなわち雑種不妊であることが明らかにされた。