水産増殖
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沿岸域における標識メジナ稚仔魚の移動と成長について
吉原 喜好蔵方 早苗藤田 千夏池上 龍朗柳原 昌子和田 孝紀
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1998 年 46 巻 2 号 p. 177-182

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抄録

日本大学生物資源科学部下田臨海実験所に隣接する田の浦湾ならびにその周辺海域において1996年と1997年3月から9月にかけてタイドプールや砕波帯で捕獲したメジナ稚仔魚にBainary coded wire tagで標識し, 再捕時の情報からメジナ稚仔魚の沿岸域での移動と成長について検討した。
放流尾数は1996年は2, 814尾, 1997年は4, 020尾であり, 再捕尾数はそれぞれ450尾と59尾, そのうち個体識別ができた魚は1996年が78尾, 1997年は51尾であった。再捕魚のほとんどは放流点近くの場所で捕獲されが, 放流から5日後に650m離れた最初に漁獲された場所へ戻って再捕された例もあった。経過日数が最も長かったのは放流から419日目に再捕されたメジナであった。
2cmで放流されたメジナは300日後には9.3cmに成長し, これは孵化からほぼ1年後の成長量とみなせた。

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