水産増殖
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ウナギに対するFlavobacterium columnareの人為経皮感染の検討
間野 伸宏内田 大介乾 享哉鈴木 隆志平薮 栄治宮地 義和廣瀬 一美
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1999 年 47 巻 3 号 p. 431-437

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抄録

ニホンウナギの成魚におけるF.columnareの人為経皮感染方法を確立する目的で, 以下の方法により感染実験を行った。すなわち, 70%アルコール綿, 紙ヤスリ, もしくは歯ブラシで尾柄部の表皮を損傷させた後, 104~107CFU/mlに調整した菌液に浸漬させ15~25℃で飼育し, 感染状況を観察した。また, 感染魚の血液性状, 細菌分離, および病理組織学的観察を行い, 以下の結果を得た。
1.70%アルコール綿で処理した後, 107CFU/mlに調整した菌液に浸漬させ, 25℃で飼育する条件で, 実験魚は尾ぐされの症状を呈し, 10日以内に全ての個体が斃死した。
2.供試魚は感染48時間後より, 赤血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン量, および血清タンパク量が減少し, 貧血症状を呈した。
3.染患部の真皮層では, F.columnareの増殖が観察され, 感染魚の70%から, F.columnareが分離された。しかし, 鰓および内臓器官に重度な病変は認められず, 2次感染の恐れは少ないと考えられた。

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