2000 年 48 巻 1 号 p. 25-31
ニシキゴイの3系統,紅白,大正三色,昭和三色の遺伝的多様性をマイクロサテライトDNAの4領域,Cca-8*,Cca-17*,Cca-21*,Cca-30*を用いて調べた。Cca-17*はすべての系統で変異が認められなかった。平均対立遺伝子数は低く,3.25から4.5の範囲にあった。平均異型接合体率もまた低く,0.325から0.456の範囲にあった。Neiの遺伝的距離の平均値はその他の養殖系コイより小さかった。ニシキゴイの遺伝的多様性指標がことごとく低いのは,種苗生産が全般に少数親魚によって行われていると言うことだけではなく,祖先集団の大きさが小さかったことを示唆している。