水産増殖
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アサヒガニふ化幼生の活力判定の試み
浜田 和久浜崎 活幸虫明 敬一
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2002 年 50 巻 1 号 p. 79-84

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抄録

1.アサヒガニふ化幼生の活力判定のための一つの手法として, 飢餓耐性試験を行い, 無給餌生残指数 (SAI) を求めた。
2.給餌飼育試験において, SAIが高い幼生ほど10日齢までの初期生残率が高かった。
3.卵のふ化パターンを3型に分類した結果, 一斉型のふ化パターンを示した幼生のSAIが他のふ化パターン (分割型, 断続型) より高かった。
4.以上の結果から, アサヒガニにおいてSAIがふ化幼生の活力を示す有効な指標になるものと考えられた。
5.水温22~31℃の範囲において, 試験水温 (x1) とSAI (y1) との間に有意な直線回帰y1=-0.76x1+27.70が認められ, 水温25℃のSAI (y) への補正は, y=y1+0.76 (x1-25) により可能となった。
6.雌ガニの体重, ふ化幼生の背額棘間長, 湿重量および乾重量とSAIの間には, 特に関連性は認められなかったが, 雌ガニの養成期間が25日以上およびふ化時の水温が27℃以上ではSAIが10以上を示す雌ガニの割合が低下する傾向がみられた。

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