2002 年 50 巻 3 号 p. 363-367
イワナとニジマスの卵にミズカビ病原因菌の1種のSaprolegnia parasiticaを感染させ, 受精後翌日から発眼までの胚発生期間中に, 残留塩素濃度30mg/lの弱アルカリ性電解水で30分間または60分間の処理を週2回行った。その結果, これらの発眼率は, 電解水を使用しない卵 (対照) よりも高くなる傾向があり, とくにイワナでは有意な差が認められた (p<0.01) 。また, 対照区では, 死卵のすべてに菌糸が繁茂して大きな塊となっていたが, 電解水処理区では, それが観察されなかった。したがって, 電解水には, ミズカビ病原因菌の繁殖を阻止し, 結果として, 卵の生残を向上させる効果があると考えられる。