水産増殖
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駿河湾北部でのミミズハゼ雌の生殖年周期
北野 忠畠山 類秋山 信彦上野 信平
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2003 年 51 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

静岡県沼津市で1998年1月~1999年5月に採集したミミズハゼの雌について卵巣の成熟の季節変化を調べた。その結果, 10月下旬~翌年4月中旬の, 卵黄蓄積期が多くみられ, GSIが高い場合では2.00の個体が出現する時期と, 4月下旬~10月上旬の, 退行期もしくは休止期がみられ, GSIが0.10以下と低い時期とに分けられ, 明確な生殖年周期が確認された。
繁殖期前および繁殖期中に採集した個体を10~25℃の5℃おきとした水温で30日間飼育した。休止期であった繁殖期前の個体を用いた実験では, 10, 15℃の条件でGSIは有意に高くなり, 18個体中13個体が卵黄蓄積期となった。次に, 卵黄蓄積期であった繁殖期中の個体を用いた実験では, 10, 15℃の条件でGSIが有意に高くなった。一方, 25℃の条件では有意に低くなり, 全て退行期となった。これらより, 約20℃を境にした低水温化が卵巣の成熟の開始要因であり, 約20℃を境とした高水温化が終了要因であると考えられた。

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