2003 年 51 巻 1 号 p. 55-64
スズキの卵発生に及ぼす水温と塩分の影響を人工受精卵を用いて調べた。卵発生は水温10~20℃並びに塩分8.7~49.2PSUの範囲で, 進行しふ化に至った。分散分析結果から本種の卵発生は水温と塩分および両者の相互作用を受けることが示された。最適水温と最適塩分は15℃, 33.8PSU付近と算出され, 本種の産卵期の水温と塩分にほぼ一致した。各発生段階までの到達時間は水温の上昇に伴って短くなり, 両者の関係は15℃を変曲点にもつ2本の直線で表せた。Q10とμの値は高温側より低温側で大きかった。水温と塩分に感受性の高い時期は嚢胚期から眼胞形成期までの間であった。