2003 年 51 巻 2 号 p. 173-177
養成下におけるトゲノコギリガザミの産卵の予測・制御技術を開発する一環として, 卵巣卵径と生殖腺指数の関係を調査するとともに, 生検法で卵巣卵を採取した雌ガニを産卵まで養成し, 卵巣卵径と産卵までの積算水温の関係を調べた。生殖腺指数は卵巣卵径にともない増大したことから, 卵巣卵径は卵巣の発達状態を表すものと考えられる。産卵までの積算水温 (CWT) は卵巣卵径 (IED) の増大にともない減少し, その関係は次のべき乗式で表された。
CWT=7.8×1023OED-8.3872 (n=35, R2=0.5665, P<0.001)
今回求めた関係式から生検法で採取した卵巣卵の長径を測定することで, 産卵までの積算水温を予測することができるが, 卵巣卵径360μm以下では産卵までの積算水温は大きく変動する傾向を示した。