水産増殖
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異なった日周条件がスジアラ仔魚の初期摂餌, 初期生残および消化酵素活性に及ぼす影響
與世田 兼三團 重樹藤井 あや黒川 優子川合 真一郎
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2003 年 51 巻 2 号 p. 179-188

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抄録

異なった日周条件がスジアラ仔魚の初期摂餌, 初期生残および消化酵素活性に及ぼす影響を量産規模で調べた。本試験は60kl水槽で実施した。自然条件 (13L: 11D, 13L区) , 24L: 0D (24L区) および6L: 6D (6L区) の繰り返しの3つの条件で仔魚の飼育を行った。日齢3~4と日齢6~7の摂餌率と胃内容物を調べるために, 3~9時までは3時間, 9~21時までは6時間間隔で試験水槽から試料を採取した。その結果, 24L区の初期摂餌は6時に最も早く観察され, 13L区と6L区は24L区よりそれぞれ3時間と9時間遅れた。また, 24L区の50%以上の平均摂餌率は昼夜にわたって観察され, 両区よりも回数が多かった。さらに, 生残率, 平均全長およびトリプシン活性は24L区が両区よりも優る傾向があった。これらの飼育結果を応用し, 2002年に60kl水槽で3事例の飼育を日齢43まで行った。総計で33, 477尾の稚魚を, 平均生残率2.8%で安定した生産ができた。以上の結果, 本種の仔魚における初期の24時間明条件の電照飼育は, 摂餌, 成長および生残に対して有効であることが明らかになった。

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© 日本水産増殖学会
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