2004 年 52 巻 3 号 p. 293-300
ハイドロキシルアパタイトおよびゲル濾過カラムを用いて, Vgの構成成分である卵黄蛋白Lvをメバチマグロ卵巣から精製した。精製Lvはゲル濾過において300kDa, SDS-PAGEでは105kDaであった。Lvを抗原とした特異抗体は, Western blottingでは雄血清とは反応せず, 雌血清とのみ特異的に反応した。雌血清で観察されたバンドは210kDaであり, Vgであると考えられた。精製Lvをスタンダードとしアクリジニウム標識抗体を用いて, simultaneous CLIAによるメバチマグロVg測定系を確立した。測定範囲は0.97-1000ng/mlであり, 卵抽出液と雌血清の希釈系列は精製Lvスタンダードカーブと平行性を示した。アッセイ内およびアッセイ間変動係数は10%未満であった。さらに, 本測定系はクロマグロ, キハダマグロおよびブリと免疫交叉性を示した。ハワイ沖で捕獲したメバチマグロ雌魚では7個体中3個体からVgが検出され, 雄個体からVgは検出されなかった。