水産増殖
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イワガキおよびマガキ血球の形態と貪食能
高橋 計介矢内 秀和室賀 清邦森 勝義
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2005 年 53 巻 1 号 p. 53-59

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抄録

同じ環境下で一定期間飼育されたイワガキおよびマガキを用いて, 血球組成の観察と貪食能の比較実験を行った。スライドグラスに接着・伸展させ染色した血球を観察した結果, イワガキおよびマガキのいずれにおいても, 2種類の顆粒球 (C, D) および3種類の無顆粒球 (A, B, E) , 計5つのタイプの血球に分けられた。各血球タイプの貪食能の季節的変動を調べたところ, 両種においてタイプCおよびDとした顆粒球が周年高い貪食率を示したが, 放卵・放精後の秋には貪食率が低下した。以上のように, イワガキの血球組成はマガキの血球組成と同じであることが明らかにされた。しかし, 血球の貪食能に対する水温と塩分濃度の影響について調べたところ, 低水温および低塩分におかれたイワガキの血球の貪食能はマガキ血球の場合より顕著に低下し, 両種の血球の貪食能に対する環境要因の影響には差が見られた。

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© 日本水産増殖学会
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