2006 年 54 巻 3 号 p. 341-346
DeLury法により紀伊水道東部海域における稚アユの資源量を推定した。1991~2004年の初期資源量 (N0) は376万~4, 949万尾で変動が激しく漁獲尾数 (C) ・CPUEと類似した年変動を示し, 資源は不安定な状態であることが示唆された。漁獲率 (C/N0) は0.65~0.87で, 初期資源量 (N0) ・漁獲尾数 (C) にかかわらず高かった。初期資源量 (N0) と漁獲尾数 (C) ・海域の獲り残し尾数 (N0-C) との間には正の相関がみられ, 日高川での年間流下仔魚数が多い年には翌年の初期資源量 (N0) も多くなる傾向がみられることから, 年間流下仔魚数を増大させるとともに適正な漁獲管理を行うことでアユ資源を維持できることが示唆された。