抄録
クニマス再生産の状況と阻害要因をスキューバ潜水と水中カメラを用いて調査した。クニマスは11月中旬から1月下旬にかけて水深約30 mにある湖底礫地の産卵場へ来遊し、掘り行動を行った。来遊数は、湧水の多小よりも礫地の大小が関係していると考えられた。この産卵場においてウナギ類による卵食が確認され、産卵場付近からヨーロッパウナギが採捕された。確認できたクニマス産着卵は少なく、卵食による影響が懸念された。クニマス個体群存続のためには礫地および湧水の保全に加え、ウナギ類の食害を阻止することが重要と考えられる。