2004 年 1 巻 p. 52-56
韓国では、アーカイブズ学archival science を「記録学」と訳しているが、これにはいわゆるレコード・マネジメントも含まれている。報告者は最近、韓国の大手企業において記録情報管理体制確立のためのコンサルティング・プロジェクトに携わり、記録学がいかに実用的かつ学際的な学問であるかを実感した。この経験から、本報告ではまず、記録学の教育、すなわちアーキビスト教育において、学生の現実対応能力を育成するため、電算科目などの実習型授業を充実させると同時に、講義型授業を適切に配置したコースワークを教育システムの中心として積極的に採り入れることが重要だ、と主張している。またアーキビスト教育の基礎である記録学の発展には、記録に関する社会的な経験を蓄積しこれを学問化する努力が不可欠であり、そのため、システム工学、経営学、歴史学、文献情報学(図書館情報学)、法学、行政学などの関連分野との学際的共同研究を学界レベルで組織し、その成果をアーキビスト教育に還元することが大切だ、と強調している。