2009 年 10 巻 p. 24-44
本稿は、アーカイブズのデジタル化について、若干の事例紹介と、アーキビストへの提言を行ったものである。正倉院文書のデータベース化の事例と、「上田貞治郎古写真コレクション」のデータベース化の事例について述べた。これらは、史料の現状と原状の構造に配慮しつつデータベース化を行っている点において共通している。また、研究の要請にしたがって作成されているという特徴を持っている。アーキビストが、デジタル化を行う際の不満は、これらの研究の要請にしたがうものが効果的に作成されない点にあるのではないかと考える。そのため、後段では、筆者はデータベース作成の経験をもとに、アーキビストが「アーキビストのためのデジタルデータ」を作成するためのいくつかの提言を行った。