2009 年 10 巻 p. 2-23
本稿では、アジア歴史資料センターのデータベース構築作業を担ってきた調査員の立場から、デジタル・アーカイブズの現在と展望を考えたい。まず、センターにおけるデータベースの構成とその概念について述べる。次に、このデータベースの利用、すなわち資料へのアクセスをめぐって、検索等の機能を確認した上で、データベースの精度に関するいくつかの問題を紹介する。最後に、開設準備段階からのアジア歴史資料センター構想を簡単に振り返りつつ、現在のセンターの機能や位置付けを確認する。この中では、とくに公共のデジタル・アーカイブとしてのセンターの課題と取り組みを見ることを通して、デジタル・アーカイブズの展望へと目を向ける。