2011 年 14 巻 p. 36-53
アーカイブズにおけるアウトリーチ活動とは、アーカイブズの存在を知らない人や社会に対して、アーカイブズの存在をより広範囲の人や社会に認識してもらい、そのことを通して利用の促進やアーカイブズ情報の有用性を広く伝えるために、アーカイブズの側が主体的に外部に向けておこなう活動である。本稿では、アウトリーチの定義を上記のように規定した上で、アメリカ合衆国の大学アーカイブズにおけるアウトリーチ活動の形態を手掛かりに、アウトリーチ活動のミニマム・エッセンスを設定する。さらに、そのミニマム・エッセンスが、現在の日本の大学アーカイブズでどの程度おこなわれているのか、その現状を調査すると同時に、課題を考察し、アウトリーチ活動に関する理論と実践の蓄積の必要性を提起する。