2011 年 15 巻 p. 28-37
デジタルアーカイブというコンセプトは今から15年近く前にあらわれてきた。当初は文化遺産がその主対象で、これらを高度なマルチメディア・デジタル技術で記録することが推進された。また地域振興の観点からは、デジタルアーカイブは各地域のアイデンティティ定義に適用された。いくつかの大きな事業が長続きしなかったなかで、当初一般的ではなかったアーカイブズ学とのタイトな結びつきを得ながら成長したデジタルアーカイブもある。そのアーカイブズ学についていえば、デジタル記録とネットワークによるアクセスは、現在必須事項となっている。本稿ではこのようなプロセスを、歴史的考察の観点から、事例を交えながら記述するとともに、将来への課題を提示する。