2014 年 21 巻 p. 55-74
本稿では、1936年の米国アーキビスト協会設立の前後において、欧州由来のアーカイブズの原則・方法論がいかに米国のアーカイブズ界に受け入れられ、解釈され、適用が試みられたかについて、米国国立公文書館等が所蔵する一次資料を参照しつつ考察する。米国でフォンド尊重の原則をめぐる検討が本格化したのは、1934年の国立公文書館設立後のことであった。その結果、米国政府文書の実態を踏まえた文書群単位として「レコードグループ」が考案され、その記述では当該文書群の現用段階におけるファイリング方式が重視されている。つまり同館において、フォンド尊重の概念は移管され始めた大量の連邦文書の整理・公開を進めるための実践的解決策として解釈され、応用されたのであった。