2015 年 22 巻 p. 118-138
本稿では、大韓帝国末期から日本によって植民地化された直後の時期にあたる19世紀から20世紀初頭に韓半島で実施された土地調査事業に着目する。これまで本事業の過程を示す資料としては、慶尚南道金海郡庁で1980年代に発見されたものと、筆者が2000年に慶尚南道馬山市庁において見つけ出した昌原郡土地調査事業資料の存在が明らかになっているのみで、資料の発掘が進んでいないのが現状である。そこで本稿では、土地調査に関する本格的な研究を行う前に、昌原郡土地調査事業に関する資料を分析する。なかでも、帳簿の変化と事業推進過程、調査事業前後における帳簿の共通点と相違点を分析することで、この時期における土地調査事業の性格の一端を明らかにしたい。