2015 年 22 巻 p. 102-117
本稿は、「内地」と植民地両方に存在した島庁について分析している。ただし、島庁という同一名称が付された島庁の文書管理制度を比較するのではなく、地方制度・植民地統治の進展のもと設置された島庁に注目することで、アーカイブズが生産される場所の位置づけから「帝国の拡大とアーカイブズ」について考えていく。このように本稿は「文書」を直接の対象にしてはいないが、島庁の設置過程と職務権限などを分析し、現場に注目することで、「帝国の拡大とアーカイブズ」を考える視座が豊かになるという提言をしている。
日本「内地」に設置された島庁も数例あるが、ここでは、対馬を取り上げている。また植民地に設置された島庁として、朝鮮の鬱陵島庁・済州島庁、台湾の澎湖島庁について、それぞれ言及している。