アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
Print ISSN : 1349-578X
22 巻
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論文
  • 徐 有珍
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 22 巻 p. 4-22
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿では、日本の都道府県における行政刊行物の収集・保存のあり方を明らかにするために、三重県を事例に挙げ、行政刊行物の管理体制の現状と課題を検討した。三重県では、公文書館機能を合わせ持つ三重県総合博物館の新設をきっかけとし、行政刊行物の管理体制の再整備が行われた。新しい行政刊行物の管理体制は、①三重県立図書館、議会図書室への送付を訓令に規定し、行政刊行物の提供を支援すること、②三重県総合博物館を最終保存機関として位置づけ、三重県が作成した行政刊行物が1点以上は必ず保存される体制を確立したことに特徴がある。今後、制度の実践への取組みと共に、諸管理機関間の連携を図るための具体的な協力方案の検討を行い、行政刊行物の管理体制の適切な運用及び継続的な改善を図ることが求められる。

  • 青山 英幸
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 22 巻 p. 23-46
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    この覚書は、2013年1月から2014年7月までに、公文書管理法体系の一部改正――閣議議事録の作成など――が検討された経緯を跡づけ、旧情報公開法体系の「車の両輪」遺産を継承したこの法体系につぎの問題があると指摘した。a)この法体系の「行政文書」の範疇に含まれないドキュメント/レコードとして、1)ドキュメント/レコードの一部として機能している市販刊行物など、2)公文書管理法以外の法律にもとづく「法定ドキュメント/レコード」、3)非「共用文書」としての「メモ」ドキュメント/レコードがあること、b)特定秘密保護法により2)のドキュメント/レコードの領域が一層拡張されたこと、c)閣議議事録などの真正性が3)の「メモ」ドキュメント/レコードと位置づけられ会議構成員の確認行為の欠落により損なわれていること、それとともに、閣議議事録作成のあらたな「神話」が発生しつつあると示唆した。これら諸課題を解決する方途として、各府省庁ドキュメント/レコードは国民の財産であるという観点から、公文書管理法と情報公開法の見直し、「行政文書」と上記1)から3)を「パブリック・ドキュメント/レコード」“Public Docurments/ Records”へ統合し、これら国民の財産を適正にコントロールするArchives Records Management: ARM を強力に推進する機関の創出に言及した。

小特集 2014年度第1回研究集会「市民活動とアーカイブズ」
リレー特集「帝国の拡大とアーカイブズ」(2)
  • 高江洲 昌哉
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 22 巻 p. 102-117
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿は、「内地」と植民地両方に存在した島庁について分析している。ただし、島庁という同一名称が付された島庁の文書管理制度を比較するのではなく、地方制度・植民地統治の進展のもと設置された島庁に注目することで、アーカイブズが生産される場所の位置づけから「帝国の拡大とアーカイブズ」について考えていく。このように本稿は「文書」を直接の対象にしてはいないが、島庁の設置過程と職務権限などを分析し、現場に注目することで、「帝国の拡大とアーカイブズ」を考える視座が豊かになるという提言をしている。

    日本「内地」に設置された島庁も数例あるが、ここでは、対馬を取り上げている。また植民地に設置された島庁として、朝鮮の鬱陵島庁・済州島庁、台湾の澎湖島庁について、それぞれ言及している。

  • 崔 元奎, 金 耿昊, 李 相旭, 金 慶南
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 22 巻 p. 118-138
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿では、大韓帝国末期から日本によって植民地化された直後の時期にあたる19世紀から20世紀初頭に韓半島で実施された土地調査事業に着目する。これまで本事業の過程を示す資料としては、慶尚南道金海郡庁で1980年代に発見されたものと、筆者が2000年に慶尚南道馬山市庁において見つけ出した昌原郡土地調査事業資料の存在が明らかになっているのみで、資料の発掘が進んでいないのが現状である。そこで本稿では、土地調査に関する本格的な研究を行う前に、昌原郡土地調査事業に関する資料を分析する。なかでも、帳簿の変化と事業推進過程、調査事業前後における帳簿の共通点と相違点を分析することで、この時期における土地調査事業の性格の一端を明らかにしたい。

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