2005 年 3 巻 p. 12-30
2001年に情報公開法が制定され、国立大学法人でも適正な文書管理が試みられてきているといわれる。しかし、多くの国立大学には非現用文書の受け入れ先がなく、歴史的あるいは学術的に重要な文書等が失われる可能性がある。歴史的に重要かどうか検討されることなく、保存期間の満了した文書が廃棄されているかもしれない。従って、公開できないとされる個人情報の含まれた歴史的に重要な文書が、永遠に見られないかもしれない。本稿では、卒業論文を例としてとりあげ、将来それが歴史的資料として見られるかどうかについて考える。最初に国立大学法人での卒業論文の実際の扱いについて見ておきたい。次に、情報公開法における個人情報について説明し、最後に法人文書に含まれる著作物について考える。